かつて、
製剤工場では、業務系を中心にした工場ホストコンピュータと呼ばれる汎用計算機により生産計画の立案、
原材料の発注・入荷、原料引当、受払実績管理等が行われ、公的な帳票(指図書・記録書等)については、
手書き、もしくは、オフラインPCに転記入力された帳票を使用し、生産設備はプログラマブルコントローラ
(以降、PLCと略す。)、または分散型制御システム(以降、DCSと略す。)により、制御されていた。
ところが、
コンピュータシステムでの指図・記録に対する承認ワークフローの制御・管理とバッチデータ管理が
求められると、上述のシステム構成では対応が難しく、製造実行システム(以降、MESと略す。)の
開発・導入が進められた。
それに伴い、システム開発メーカは医薬品業種向けMESパッケージの商品化を行ない、
従来のスクラッチ開発からMESパッケージ標準機能をベースにしたカスタマイズ開発へ脱却した。
初期のMESでは、
指図発行、受払実績管理を目的に、業務系の工場ホストコンピュータと接続され、バッチデータ管理を目的に
制御系システムであるPLC・DCSとの指示送信/実績受信が行われた。
その後、MESは自動搬送・自動倉庫等の構内物流管理システム(以降、MHSと略す)、検査・分析結果を
管理する品質管理システム(以降、LIMSと略す。)とも接続され、製造の中核システムとして位置付けられた。
さらに、GMP、FDA等のレギュレーション見直しが行われるとともに、MESの機能も拡張され、手書きのSOP記録、
押印による承認行為等が電子化され、システムと紙によるハイブリッド運用から完全電子化運用への移行の
可能性が高まってきている。
また、逸脱・変更管理、文書管理、教育訓練管理等のシステム構築とMESとの連携を視野に入れた
統合システムを検討するユーザも少なくない。
このように述べると、順調にMESが発展しているように思えるが、現実には、多くの問題と課題を抱えており、
『製剤工場MESは投資に見合ったシステムとはいえない。』というのが実感である。
具体的には
あるいは
但し、これはメーカだけの責任ではなく、責任の一端はユーザであり、さらには、ユーザ⇔メーカ間の
エンジニアリングにおける負の連鎖に負うところも多い。
長年、メーカに勤務していたため、必ずしも、ニュートラルな意見とはならないかもしれないが、以下の観点で
製剤工場におけるMESの現状/問題/原因/対策、及び、対策を講じる上での課題をまとめてみた。
以下に示される方のお役に立てれば、幸いである。(具体例は次ページ参照。)
これからシステム導入検討・企画を始めるユーザ。
システム導入予定のユーザ。
既存システムに疑問・問題を感じているユーザ。
詳細は、以下のPDFファイルを参照下さい。